目

異所って何だ?第三の脂肪って何だ?

研究開発やってみた

メタップ®(グロビンペプチド)は海馬の神経新生を促進し、うつ様症状を改善

背景

ロート製薬グループの独自素材である「メタップ®」(グロビンペプチド)は、これまでに、脂質代謝や肝機能の改善、筋肉量の増加、卵巣における異所性脂肪の蓄積抑制などが報告されています。高齢化社会におけるフレイルや生活習慣病といった課題に対し、異所性脂肪の蓄積抑制を中心とした新たなアプローチへの応用が期待されています。

本レポートでは、異所性脂肪との関連が報告されているメンタルヘルスに対する、メタップの作用をご紹介いたします。


報告

本研究では、リポポリサッカライド(LPS)投与によるうつ病モデルマウスを用い、メタップの抗うつ作用とその作用機序を検証しました。

LPSを投与したマウスでは、尾懸垂試験における無動時間の延長(うつ様行動)に加え、海馬における脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現低下および神経新生の減少が認められました。しかし、メタップ(0.1 g/kg)を10日間連続して反復経口投与することにより、これらのうつ様行動やBDNF発現低下、神経新生の減少が有意に改善されました。さらに、メタップ投与群では海馬背側におけるAMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)の活性化が亢進していることが確認されました。

以上の結果から、メタップは、海馬におけるAMPK/BDNFシグナル伝達系を増強し、神経新生を促進することで、抗うつ作用を発揮する可能性が示されました。今後、メタップは「うつ病をはじめとする精神神経疾患の予防・対策」に向けた新たな選択肢となることが期待されます。


メタップ®によるLPS誘発うつ様行動の抑制作用

マウスにLPS(1.66 mg/kg, 腹腔内注射)を投与すると、尾懸垂試験において、うつ様行動の指標とされる無動時間が延長しました。このモデルに対し、メタップ(0.1 g/kg)を10日間継続して経口投与したところ、LPSによる無動時間の延長が有意に抑制され、うつ様行動の改善が示されました。

平均値と標準偏差を示した(各群 n=11~15)。

* p<0.05(vs. 生理食塩水+水), # p<0.05(vs. LPS+水)


メタップ®による海馬のAMPK/BDNFシグナル伝達系の増強作用

うつ病の発症には、記憶や感情に関わる脳領域である「海馬」における脳由来神経栄養因子(BDNF)の減少や、神経新生(新しい神経細胞が作られる現象)の低下が関与すると考えられています。

LPSを投与したマウスの背側海馬では、BDNFの発現量が著しく低下していました。一方、メタップ(0.1 g/kg)を10日間経口投与したマウスでは、AMPKの活性化(リン酸化)の促進とBDNF発現低下の抑制が確認されました。

これらの結果から、メタップは海馬におけるAMPK/BDNFシグナル伝達系を増強し、神経新生を促進する可能性が示唆されました。

平均値と標準偏差を示した(各群 n=10)。

** p<0.01(vs. 生理食塩水+水), ## p<0.01(vs. LPS+水)水)


メタップ®による海馬歯状回における神経新生の促進作用

実際に神経新生が促進されているかを確認するため、海馬歯状回における未熟な神経細胞のマーカーであるBrdU/DCX陽性細胞を解析しました(BrdU:分裂細胞マーカー, DCX:未熟神経細胞マーカー)。その結果、LPS投与によって減少した未熟な神経細胞数が、メタップの10日間投与によって回復することが確認されました。

平均値と標準偏差を示した(各群 n=5~6)。

* p<0.05(vs. 生理食塩水+水群)、# p<0.05(vs. LPS+水群)


参考文献

Nakagawasai O, et al., J Pharmacol Sci, 157(3), 199-202, 2025