背景
肥満マウスや、マウスの培養細胞での研究により、筋繊維の分化を促し、新たに筋肉を作り出す作用があることが分かってきた「メタップ®」。体づくりを考える上で、メタップ®を食べるとどういったことが期待できるかが気になるところです。そこで、ゼブラフィッシュという魚を用いた実験を行いました。ゼブラフィッシュにメタップ®を食べさせたところ、フィジカルや運動パフォーマンスによい影響が見られましたので、本レポートにて実験結果を元にご紹介します。
報告
運動パフォーマンスへの影響
6か月齢の野生型ゼブラフィッシュ(AB系統、ZIRC由来)を用いて、以下の2群に分けて1週間飼育しました。飼育後、電気刺激を行い、その後の体重および運動量(速度と移動距離)を計測しました。
<試験群>
・メタップ®群:普通餌に加えてメタップ®(400 mg/kg体重/日)を摂取
・コントロール群:普通餌のみ摂取
結果、図に示す通り、メタップ®群ではコントロール群と比較して、体重が有意に増加していました。また、運動機能は、泳ぐ速度、距離いずれも有意に増加していました。



メタップ®摂取によるゼブラフィッシュ運動機能への影響
Control:普通餌摂取群、METAP®:普通餌およびメタップ®摂取群
*p<0.05
上記の結果から、メタップ®はゼブラフィッシュにおいて運動機能を高めることが示されました。運動量が増えただけでなく、体重が増加していたことから、ゼブラフィッシュの体格の変化が運動能力の向上と関連している可能性が考えられたため、次に筋肉の様子を観察する実験を行いました。
筋肉組織への影響
6か月齢の野生型ゼブラフィッシュ(AB系統、雄)を以下の2群に分け、2週間飼育しました。飼育後、筋肉組織を回収し、固定・パラフィン包埋・切片作製を行いました。ヘマトキシリン・エオジン染色後、顕微鏡で観察し、画像解析ソフト(ImageJ)を用いて筋繊維の太さを定量しました。
<試験群>
・メタップ®群:普通餌に加えてメタップ®(400mg/kg体重/日)を摂取
・コントロール群:普通餌のみ摂取
結果、図に示す通り、メタップ®群では、筋繊維の太さがコントロール群に比べて約1.5倍に増加していました。

メタップ®摂取によるゼブラフィッシュ筋肉組織への影響
Control:普通餌摂取群、METAP®:普通餌およびメタップ®摂取群
**p<0.01
以上の試験結果より、メタップ®の摂取により、筋線維の肥大が促進される可能性が示されました。先に行った運動機能への影響を調べた試験で、運動機能の向上だけでなく、体重の増加が観察されたことを含めて考えると、メタップ®の摂取がゼブラフィッシュにおいて筋繊維の肥大をサポートした結果、筋肉量が増加し、体重増加および運動機能が向上したことが考えられました。
最後に
メタップ®は筋繊維の分化を促し、新たに筋肉を作り出す作用があることが分かっていましたが、フィジカルやパフォーマンスにどのような影響があるかは未検証でした。そこで、初歩的な検討として、ゼブラフィッシュを用いた試験を行いました。餌にメタップ®を加えて飼育した結果、ゼブラフィッシュの体格は向上し、運動パフォーマンスも向上することが分かりました。筋肉組織を注意深く調べたところ、筋肉の繊維が1.5倍も太くなっていたことから、培養細胞の研究で観察されたミクロレベルでの筋繊維の分化促進作用が、体格や運動パフォーマンスといったアウトプットにつながることが示され、メタップ®が体づくりや運動機能向上に役立つ可能性が示されました。
下記参考文献をもとに作図
- 特開2023-48160 (2023.4.6)