目

異所って何だ?第三の脂肪って何だ?

研究開発やってみた

メタップ®による卵巣の異所性脂肪蓄積の抑制を介した卵巣機能の改善

背景

ロート製薬グループでは、女性の不妊や更年期障害といったライフステージに関わる課題に対し、食品素材による新しいアプローチを模索しています。独自素材メタップ®(METAP®, グロビンペプチド)は、食後の血中中性脂肪の上昇を抑えるほか、脂質代謝を改善する作用を持ち、異所性脂肪の対策としても期待されています。
近年、加齢に伴って卵巣の間質に脂肪が蓄積することが報告され、卵巣の機能低下に関わることが分かってきました。そこで、本レポートではメタップ®による卵巣機能の改善作用についてご紹介します。

報告

卵巣老化が早く進む遺伝子改変マウス (KOマウス) にメタップ®を2か月間与えて飼育し、卵巣での脂肪蓄積と線維化の程度、発情周期について評価しました。その結果、メタップ®投与群では卵巣間質での脂肪蓄積や線維化が有意に減少し、発情周期も回復傾向を示しました。さらに、メタップ®による卵巣での脂質代謝を調べるため、卵巣間質細胞のミトコンドリア機能を調べたところ、メタップ®によってミトコンドリア活性が有意に上昇しました。これらの結果から、メタップ®は卵巣の脂質代謝を改善することにより、加齢に伴う卵巣の脂肪蓄積を抑え、卵巣機能を改善することが明らかとなりました。
卵巣での脂肪蓄積は、加齢だけでなく肥満によっても生じることが報告されており、脂質代謝の低下は、年齢に関係なく女性の生殖機能に影響を与える可能性があります。このため、脂質代謝を改善するメタップ®は、幅広い世代の女性の健康を支える新たな選択肢となることが期待されます。

卵巣老化マウスの卵巣に対するメタップ®の効果

卵巣老化する遺伝子改変マウス(KO)にメタップ®を与えた場合、卵巣間質における脂肪蓄積が低下し、線維化が減少した。卵巣における脂質蓄積はナイルレッド染色、線維化はコラーゲンを認識する抗体で免疫染色を行い検出。

*p<0.05

卵巣老化マウスの発情周期に対するメタップ®の効果

1週間以内に少なくとも1回発情期を示したマウスの割合。WT:野生型マウス

卵巣間質細胞のミトコンドリア活性に対するメタップ®の効果

ミトコンドリアでの脂質代謝について、卵巣間質細胞での酸素消費速度を測定。

*p<0.05

下記の参考文献をもとに作図

  • Umehara T., et. al., J Reprod Dev, 70(3), 202-206, 2024