脂肪は溜まり過ぎると敵になる
脂肪は、本来はエネルギーの貯蔵庫。身体にとって必要なものです。しかし必要以上に取り込んでしまうと、皮下脂肪でも内臓脂肪でもなく、本来あるべきでないところに溜まり、異所性脂肪となります。
こうなると、脂肪は身体に害を及ぼし始めます。これを脂肪毒性といい、慢性炎症、インスリン抵抗性、代謝異常、臓器の機能不全など、多くの疾患の要因となってしまいます。つまり「脂肪は蓄える場所をまちがえると毒」になる。異所性脂肪を制することは、未来の健康をつくることでもあるのです。代謝を高めて脂肪をちゃんと燃やせる身体づくりと生活習慣が欠かせません。

ところで代謝って何だっけ?
トレーニングやダイエットの話をする際、当たり前のように使っている「代謝」という言葉。ですが、それが一体何なのかを説明できる人は少ないのではないでしょうか。
ダイエットなどで一般的に使われる「代謝」は、主に全身でエネルギーをどれだけ燃焼できるかを指すことが多いですよね。でも実は代謝とは、体内で物質を変化させるさまざまな化学反応すべてを指します。つまり食べた脂肪・糖・たんぱく質をエネルギーに変えるのも、エネルギーを使ってたんぱく質から筋肉をつくるのも、すべて代謝と言えるのです。
脂肪燃焼のスイッチAMPKとは
では、どのように、代謝はコントロールされているのでしょうか。カギになるのは、ATPとAMPです。ATP(アデノシン三リン酸)は「エネルギー通貨」とも呼ばれ、筋肉を動かす、脳を働かせる、たんぱく質をつくる、神経の信号を伝えるなど、あらゆる生命活動のエネルギーを供給する時に使われる物質で、酸素や糖や脂肪を使ってつくられます。細胞がエネルギーを使ってATPが消費されると、代わりにAMP(アデノシン一リン酸)という物質が細胞内に増えていきます。
AMP量の増加を感知して、ATP量をコントロールするのがAMPK(AMPキナーゼ)という酵素で、いわば代謝の方向性を決める司令塔の役割を果たしています。
AMPKはこのAMPの量を常に監視していて、AMPの増加(エネルギーの不足)を感知すると活性化します。AMPKは活性化すると、エネルギーの消費を抑えて生産を促進する指令を出し、細胞のエネルギーバランスを回復します。この時、エネルギーとなるATPは、脂肪や糖を燃やすことでつくられます。

脂肪は、毒になる前に燃やす
そこが、運動や筋トレがダイエットや健康な身体づくりにつながる理由です。有酸素運動やカロリー摂取制限をすると、細胞にエネルギーが不足してAMPKが活性化され、糖や脂肪からエネルギーを生産するモードに入ります。身体が、いわゆる「脂肪が燃焼しやすい状態」になるのです。
そして筋肉の量が多いほど、身体を動かすために多くATPを消費するため、AMPKが活性化しやすく(脂肪燃焼されやすく)なるのです。これがダイエットの基本「筋肉をつけて代謝を高め、脂肪を燃やしやすくする」の仕組みです。
見た目だけでなく、さまざまな異所性脂肪にも関わってくる脂肪と代謝のメカニズム。脂肪が溜まり過ぎて毒になる前に、ちゃんと消費しておきたいもの。そのためにはやっぱり適度な運動と食事が何よりですね。