異所性脂肪ジャーナル.3
日本人と脂肪肝
事実。隠れ脂肪肝は日本人に多い
異所性脂肪の症状のうち、最も頻度が高いのが脂肪肝。実際に、日本人の約3人に1人が脂肪肝を持ち、そのうち約9割、少なくとも推計1,000万人以上が非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)※1と言われています。もしかしてみなさまの中にも、健康診断で「脂肪肝」と言われた方もいるのでは?
それもそのはず。日本人は、太っていなくても肝臓に脂肪を溜め込んでしまう体質の人が多いことが分かっています※2。皮下脂肪がつきにくく、体に蓄えることができる脂肪が限られているため、食事でとりすぎた脂肪の行き場所がなく、肝臓へと蓄積してしまうのです。
最新の呼称は代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)へと変更されています
Everhart JE, et. al., Hepatology, 51(5), 1491-1493, 2010より一部改変して作図
肝臓は、症状が出にくい“沈黙の臓器”
脂肪肝は放っておくと肝硬変や肝がんに進行することもある疾患なのに、なぜすぐに治療しない人がいるのでしょう。理由として、脂肪肝には症状や痛みがないため進行に気付きにくいこと、また無症状がゆえに「きっと疲れているせい」「お酒を飲まないし大丈夫だろう」と思われやすいことが挙げられます。肝臓は、膵臓や腎臓と並ぶ“沈黙の臓器”。健康診断で「脂肪肝」や「異常の疑い」を指摘をされても自覚症状がないので、精密検査や生活改善に至らないケースが多いようです。
若くても、たった6日で脂肪が3倍
この脂肪肝、若者には無関係な話と思っている方は、ご注意を。研究によると※3、20代の非肥満の若年男性に6日間だけ高脂肪の食事をしてもらったところ、肝臓の脂肪量が3倍になり、肝臓のインスリン感受性が8%も下がっていました。これは、若くて健康な人でも、食事次第ではなんと1週間足らずで肝臓に脂肪が蓄積し機能に影響し始めてしまうということ。食習慣に気を配ることがいかに大事かがよくわかります。
Kadowaki S, et al., J Clin Med, 12(12), 4084, 2023より一部抜粋して作図
内臓脂肪以上?肝脂肪の健康リスク
肝臓は、健康を語る上でのキーマン。脂肪肝による健康への影響は、内臓脂肪よりも大きく、インスリン抵抗性が高まる原因となり※4 、2型糖尿病につながることも。それだけでなく、肝臓に脂肪が蓄積してストレスが溜まると、異常を知らせる炎症物質をつくりだします。これが血流に乗って筋肉や脳、心臓など離れた臓器まで届いて代謝を乱していく。ともすると、肝臓がんや肝硬変だけでなく動脈硬化や心疾患につながる恐れもあるのです。
わかりやすい内臓脂肪だけでなく、脂肪肝のケアももっと。国民をあげて肝に銘じたいところです。異所性脂肪を解決する。MGPは、重要な社会課題として取り組んで参ります。
Kadowaki S, et. al., J Endocr Soc, 3(7), 1409-1416, 2019