目

異所って何だ?第三の脂肪って何だ?

イラスト:フレイルと脂肪筋

異所性脂肪ジャーナル.1

人はもっと生きられる。異所性脂肪を解決せよ。

フレイルと脂肪筋

肉とキャラクター

元気ですか、日本の足腰。

筋肉が霜降りになるってホント?

「霜降り」といえばおいしい牛肉。でもここからは脂肪筋という、ヒトの筋肉の話。それは筋繊維のすき間に中性脂肪が侵入した状態です。放っておくと筋力が落ちて、疲れやすくなったり、歩く速度が遅くなったり、つまずきやすくなったり。フレイル(心身の活力低下)の入り口になることも。豊かな人生は足腰が命。超高齢化社会を迎える今こそ、みんなで向き合うべきテーマなのです。

フレイルのサインを表すイラスト:歩くのが遅くなった、疲れやすくなった、つまずきやすくなった状態の3人の男性

見た目には出ない、ニクいヤツ

やっかいなのは、通常の健康診断やパッと見では、この侵略者の存在に気付きにくいこと。そう、異所性脂肪は、筋肉の「量」ではなく「質」を落としていくのです。見せかけの筋肉量を保ったまま、中で脂肪を増やしていく。体重や体型がさほど変わらなくても、実はどんどん弱っていた、なんてことも。

健康な筋肉と脂肪筋の比較図:左側は規則正しい筋繊維構造、右側は筋繊維の間に脂肪が侵入した脂肪筋

若者もご用心!たった6日で脂肪が急増

「でもそれって、高齢者の話でしょ」と、お思いのあなた。油断は禁物です。研究※1では、非肥満の20代男性に6日間だけ高脂肪の食事をしてもらったところ、筋肉脂肪が何と最大で+47%と急増。さらに筋肉のインスリン感受性が4%も下がり糖代謝にまで影響が出る結果に。そうです。若い人でも食生活しだいでは、数日で筋肉の霜降り化が起こり、健康への影響が出始めてしまうのです。

高脂肪食による異所性脂肪増加のグラフ:6日間の高脂肪食摂取で前脛骨筋細胞とヒラメ筋細胞の脂肪量が標準食と比較して有意に増加したことを示すデータ ※1 Kadowaki S, et. al., J Clin Med, 12(12), 4084, 2023より一部改変して作図

知っておきたい、ダイナぺニック肥満

「ダイナペニック肥満」とは、筋肉量が正常であるにも関わらず筋力が低下する「ダイナぺニア」の状態と肥満(BMI25以上)とが合わさった状態のこと。最近の研究※2によるとダイナぺニック肥満の人は、心血管疾患・脳梗塞のリスクが平均の3倍になることが明らかに。中性脂肪による筋肉の質の低下は、生命リスクでもあるんです。

ダイナペニック肥満のリスクを示すグラフ:握力が弱く肥満の人は心血管疾患と脳卒中の罹患率が正常な人と比較して2倍以上高いことを示すデータ ※2 Setoyama Y, et al., J Cachexia Sarcopenia Muscle, 15(6), 2338-2348, 2024より一部改変して作図

未来の日本を、脂肪の侵略から守れ

2040年には、人口の約3分の1が65歳以上となる日本。医療や介護のコストは急増、現場では人手もお金も不足し、現役世代の負担もかつてないほど大きくなるでしょう。でも、逆に考えてみませんか。もし日本で70歳まで元気に働ける人が増えれば、医療や介護のコストは下がり社会の生産性もグッと高められるはず。どうやら異所性脂肪を解決することは、一人ひとりの人生だけでなく、日本の未来を支えることにもなる。だからこそ私たちは挑戦します。素材とサイエンスの力を掛け合わせ、この課題に立ち向かってまいります。