からだにつく脂肪といえば皮下脂肪と内臓脂肪。そして実はもうひとつ、“第三の脂肪”があることをご存じですか。それが異所性脂肪。名前からしてミステリアスなこの脂肪、調べてみると実は現代人を悩ませる様々な疾患の黒幕である可能性が見えてきました。
そもそも、異所ってどこのこと?
異所性脂肪とは、本来あるべきでない場所にたまった脂肪のこと。具体的には、筋肉の中や肝臓の中、心臓、膵臓、腎臓などの臓器にこっそり忍び込んで居座ってしまう、さしずめ人体内のインベーダーや無法者といった存在なのです。
内臓脂肪と何が違うのか
内臓脂肪と同じでしょ?とも思われがちですが、そうではありません。内臓脂肪は腹腔内、つまり胃や腸の周りにつく脂肪のこと。異所性脂肪とは別物です。また内臓脂肪が腹囲計測やCTなどで把握しやすいのに比べ、異所性脂肪は見た目や通常の健康診断では発見しにくいのも特徴です。
そして大きく違うのは、身体への影響のしかた。内臓脂肪は高血圧や糖尿病などの生活習慣病に間接的に関与しますが、異所性脂肪はそれに加えて、より直接的に各臓器の機能低下や慢性的な炎症の原因となるのです。

居場所をなくした脂肪のその後
食事から体内に入った脂肪のうち、エネルギーとして消費しきれない分は、まず主に皮下脂肪、次に内臓脂肪として蓄積されていきます。それでも処理しきれずあふれ出た脂肪が体内をめぐり、筋肉、肝臓、心臓や膵臓といった本来脂肪がないはずの場所にたまっていく。これが異所性脂肪の正体です。
日本人は異所性脂肪体質だった
ちなみに日本人は欧米人に比べて異所性脂肪がたまりやすい傾向があるようです。なぜなら日本人は、エネルギーとして使いきれなかった脂肪を皮下脂肪として貯蔵しておける量が欧米人よりも少ないためです。つまり体の中で脂肪があふれ出しやすい、異所性脂肪体質とも言えます。欧米人と比べてあまり太っていないように見えても、皮下脂肪と同じくらい異所性脂肪がたまっていることも珍しくありません。

あの疾患にも関係が?社会課題としての異所性脂肪
近年では様々な研究が進むにしたがって、この異所性脂肪が筋肉や肝臓をはじめ、全身の臓器や部位に影響を与えていることがわかってきました。メタボリックシンドローム、高血圧、糖尿病はもちろん、フレイル、サルコペニア、さらには不妊やうつ、認知症など現代人を悩ませている様々な疾患まで、その範囲は多岐にわたります。
一人ひとりの健康寿命を延ばすことは、社会をあげての重要課題。異所性脂肪は、国民的なイシューとなります。社会全体で協力し解決するために、私たちは議論とアクションの輪を拡げていきます。
